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耄人の主張 [màorénde zhǔzhāng] Nr. 0004
「男の子もプリキュアになれるんだよ」
という恐るべき言明が既に、
全国の電波に堂々と乗っていた件
〜春名風花氏(@harukazechan) の朝日新聞掲載記事に寄せられたコメントと、
その8ヶ月後のkasumi氏 (@kasumi1973) の各種記事とをふまえて〜

はじめに

去る2017年3月7日の夕方、朝日新聞のウェブサイトにこんな記事が載った。

「女の子も仮面ライダーになっていいんだよ 春名風花さん:朝日新聞デジタル」

この記事、ページの前書きにもあるとおり、 翌3月8日の国際女性デーに合わせて掲載されたものである。 朝日新聞の場合、夕方にウェブに載った記事は翌朝の朝刊にも載るのが通例であり、 実際にこの記事も、ほぼ同じ内容のものが3月8日の朝刊に載っている。

この記事、公開直後は朝日新聞社からYahoo!にも提供されていて、 そちらでは200件以上のコメントが寄せられていた。 (なお、現在は記事もコメントもYahoo!からは消えている。 朝日新聞社のサイトには記事がそのまま残っているので、そちらを参照されたい。)

そのコメントの中で複数の人が異口同音に述べていた主張のひとつに、 「女が仮面ライダーになるのはよくても、男がプリキュアになったらキモいだろ」 というものがあった。しかし実は、2017年の『プリキュア』 制作チームではそういう主張の斜め上を行くかのように、 「男がプリキュアになっても、キモくない!」 とすっぱり言い切っていたのである。 それは、この記事の直後の3月12日に放送された 『キラキラ☆プリキュアアラモード』第6話でのことである。

…というわけで、本当ならその指摘をタイムリーに投下したかったのであるが、 諸事情あって今のいままで延び延びになっていた。 やや遅きに失した感はあるが、その後のストーリー展開にも絡んでくるテーマなので、 遅まきながらも書き残しておこうと思う。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第6話のあらまし

3月12日の『キラキラ☆プリキュアアラモード』第6話は、 剣城あきら/キュアショコラの顔見せ回である。 そのストーリーラインでは、主人公・いちかは隣に引っ越してきたあきらのことをずっと男子高校生だと思い込んでおり(「キュアショコラ」 に変身して、それから元の姿に戻ったあとでもそれは変わっていない)、 あきらが女だということをいちかが知るのは、この回の最後の最後である。つまりその直前までいちかは、 「男子高校生の剣城あきら」が「伝説のパティシエ『プリキュア』」 に変身するということに何の疑いも持っていなかった、ということになる。

もちろん、テレビアニメを観はじめて早35年という私が見れば、 一見したところ男性のように見えるあきらが実は女性だということを示す証拠はいくつも見つかるのだが (ついでにいうと、最後の最後に真相をバラして主人公を落胆させる、というのは、 今回のように「ボーイッシュでカッコイイおねえさん」 を登場させるときの定石のひとつだ)、小さなお友達ならば、いちかと同じように 「男がプリキュアに変身した」と思い込まされても全く不思議ではない。

つまりこれは、男性が女装してプリキュアになっても何も問題ではない、 というメッセージだと私は解釈した。もしかしたら来シーズン以降、 男の子が参加する可能性だって大いにあるんじゃないか、と読み取れたのである。

プリキュアシリーズの産みの親・鷲尾天氏も男の子の参加を否定していない

実は、2004年に『プリキュア』シリーズを立ち上げた鷲尾天(わしお・たかし) プロデューサーも、男の子が参加することをもともと否定していないのである。 孫引きになるが、「プリキュアの数字ブログ」の2017年1月29日付記事 「『魔法つかいプリキュア!』を取り巻いた状況と、僕が思う事と、少しの感想。」で引用されている鷲尾氏へのインタビューをここにも掲載しておく。

──これからの「プリキュア」に期待することを教えて下さい。
「毎年毎年、女の子が、きちんと熱狂して観てくれる作品であること」ですね。 女の子に熱狂してもらえるなら、変身しなくてもいいし、 アクションをしなくてもいい。男の子が仲間に加わってもいいとまで思っています。
女の子がちゃんと喜んでくれる作品になっているなら 「プリキュア」も変わっていってもいいと思うんです。
絶対に守らなくてはいけないのが 「女の子たちに受け入れてもらえる作品であること」。
これさえ守っていれば、どう変わっていっても、 それは「プリキュア」なんだと思っています。それだけがこだわりです。
(上北ふたご著 ふたりはプリキュアMaxHeart プリキュアコレクション 巻末インタビューより引用)

つまり、女児に受け入れられる形でならば男性の参加を否定しない、 というのは、最初から規定路線だったのである。

そもそも、子供が「男性」「女性」という概念を覚えるのはいつごろか

そもそも、小さな子供が「男というものはこうである・こうあるべきである」 「女というものはこうである・こうあるべきである」 という概念を意識するようになるのはいつごろか。個人差はあるだろうが、 たぶん早い子でも、3歳くらいで言葉を話すようになって、 自分の意見を言えるようになるころからであろう。

逆に、そのへんについての育ちが遅い子で、しかも環境要因が重なったりすると (たとえば父子家庭で男兄弟が多数いる中に女の子が一人だけとか、その逆とか)、 小学校に上がった時点で様々なことが男女別になっていて戸惑う、 ということもごく日常的にあるはずである。

そして、プリキュアシリーズという作品は現状、 「3歳児がはじめて自分の意思で観るテレビ番組」の有力候補のひとつである。 というわけで、本作にこういう描写をもってきたことの意義は大きいのである。

8ヶ月後にはこういう記事が出た

そして、この3月の放送から8ヶ月が経った11月に、 上記「プリキュアの数字ブログ」の主・kasumiさんがこういう記事を発表した。

サラリーマン、プリキュアを語る:
これは福音である 「プリキュア男子」という多様性についての考察

振り返ってみれば、プリキュアたちと同年代の男の子が、 プリキュアたちと同一の立場に立って敵と立ち向かう、というストーリー展開は、 それまでの過去13年間に一度もなかったのである。

それ以外の細かい点についてはこの記事の中に一通り詰まっていると思うので、 ぜひそちらを参照していただきたいと思う。

☆ ☆ ☆

そしてさらにその1週間後、「プリキュアの数字ブログ」にはこんな記事が出た。

2017-11-24 「男の子もプリキュアになりたい」事がデータで判明。

4歳児でのデータというのが微妙なところだが、今の時代、男だからこう、 女だからこう、と決め付けること自体が無意味になりつつある。 大人でも、女性の男装は大昔からあったし、 男性の女装も、単に街で目につかないだけで、 ネット上に顔を出す人はずいぶん増えているようである。

世の中は今やこうなっている

順番が前後するが、しばらく前に、ツイッターでこんな投稿が回ってきた。

https://twitter.com/Lasagnoa/status/891590314477080576
帰宅電車内
男の子「僕もスカート履きたい!」
母親「男の子はスカート履かないの」
男の子「ママはズボン着るのにずるい!」
母親「カッコよくないよ、キュウレンジャーみたくなれないよ」
男の子「やだ!可愛いほうがいい。キュアカスタードになりたい!」
母親「 」
18:24 - 2017年7月30日

子供は素直である。世の中の男性・女性という固定観念なんて、 所詮は何の根拠もない思い込みなのである。

まとめにかえて

…と書いてきたが、気がついたらもう 『キラキラ☆プリキュアアラモード』の最終回まで1ヶ月を切っている。 最終的にストーリーをどうまとめあげてくれるのか、今から楽しみである。

(07. Jan. 2018)

(やっと最終回まで観終わったので少々追記──19. Feb. 2018)

結局、最終決戦では、 リオがプリキュアと同じ立場で戦うというストーリー展開にはならなかった。 男子の本格参加にはまだちょっと敷居が高いのか、それとも、 リオが活躍してしまうとビブリー女史の立ち位置がなくなってしまうからか(ビブリーもリオと同じく敵方からプリキュア側に寝返った人物だ) ……これは判断が難しいところだ。


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© DENNOU GEDOU GAKKAI, N. D. D. 2018/02/19 15:35 JST